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豚肉の歴史

豚肉ほど広く食べられ、その一方で忌避された肉も珍しくありません。
あらゆる食肉の中で、豚肉は最大の消費量を誇り、その量は実に年間9000万トン(2000年現在)に及び、これは牛肉(5600万トン)、鶏肉(5800万トン)の2倍近い量です。
日本でも、弥生時代の昔から猪(イノシシ)がしばしば食卓に上りましたが、臭みが強い上に、仏教の普及による獣肉忌避の雰囲気があったので、豚肉そのものはたまに猟師が食べる「珍味」レベルにとどまっていたようです。
ただ、江戸などの都市部では、「薬食い(滋養強壮)」の一環として豚肉食いが頻繁に行われていたようで、そうした肉を提供する「獣肉屋」は「薬」を求める市民たちでごった返したようです。
特に、徳川御三家(水戸家)に生まれ、のちに一橋家の養子となって15代将軍まで上り詰めた徳川(一橋)慶喜は豚肉が大好物だったそうで、しばしば人々から「豚一さん」とあだ名されていたそうです。
人口の多い場所はともかく、地方はエサと言っても、長い冬を乗り切れるほど用意できるわけではありません。
ですから、特に寒さの厳しくなる地方は、口減らしとして、あるいは保存食として、冬が近づくと一部の繁殖用を残して、ほぼすべての豚を食肉にし、塩漬けの状態に置いたそうです。
保存の形と一口に言ってもさまざまですが、最もポピュラーなものはハムでしょう。
ハムとは「太もも」を意味する古代ゲルマン語に由来すると言われ、もともとは豚の太ももから作った保存食のことを指していました。
通称「まんが肉」と呼ばれるものも、恐らくは古代のハムの形から来ているのではないかと思われます(太い骨に太い肉という部分は他にはありませんから)。
ハムの材料を腸詰めにすると、それはソーセージになります。
ソーセージの語源はラテン語で「塩」を意味するサルススsalsusに由来し、当初は塩漬け肉のみを使用していたようですが、やがて臭みを抑えるために、バジリコやセージ、胡椒といった香辛料が大量に混ぜられるようになります。
その名残で、今もソーセージにはこれでもか!というほど、多種多様な香辛料が使われています。
もう一つの豚肉の保存技術として「ベーコン」が挙げられますが、これは薄切りにした豚肉を冷やすことで水分を抜き、保存に耐えられるようにしたものです。
一説には、「中世最高の頭脳」と呼ばれたロジャー・ベーコンが考え出したから……と言われていますが、実のところは、古代フランス語の「背肉」「バラ肉」を意味するbaconという言葉から来た、というのが真相のようです。

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